パネル(壁)の可能性
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特集記事: 構造設計への道 の中で意匠設計者としての新しい構造形式に対する提案が集められた記事の一部分。柱梁の線要素以外のもので構造を考えた論考。 岡田が最高裁判所の設計で提案したスペースウォールに至る原点がここで論じられている。
空間を構成するには二つのゆき方があると思う。柱梁構造と面構造である。・・・現在の建築の柱や梁はそれ自体の重量を支えるためにあえいでいる。オフィスビルなどにみられる6~7m感覚に太い柱が並ぶ事務空間は全く使い難いものであり、いただけない。・・・固定空間(便所・階段室・通路・ダクトスペース・シャフト類)を構成する面を構造体として利用するゆき方を大いに発展させたい。(上図1.2.3)。
「構造と設備の分離」を私たちは岡田から教えられてきた。設備が構造の制約を受けることなく展開できる設計の基本で、寿命の違う2つの建築構成要素を意識的に切り離して設計すれば結果的に建物を長寿命化させることができる。
構造体の提案ではあるが、図は、まさに空間と構造・設備のすみわけを考えたものであり、本稿は、そういった思考の中で書かれた構造に対する論考とみることができる。
岡田から常々、柱梁の軸組的断面、すなわち躯体の断面線よりも空間の断面線を太く書けと指導されてきた。その影にシンプルに空間とその他のものを図面から読み解いて行きたいという意図があったのだろうと考えることにしている。